カメラロールを開いて、いちばん上まで一気にスクロールしてみてください。スマホで撮った最初の一枚にたどり着くまで、どれくらいかかるでしょうか。何分も親指を動かし続ける、という人も多いはずです。そこには何千枚もの写真が並んでいます。旅行、誕生日、学芸会、そして意外なほどたくさんの駐車場の車。そのほとんどは、撮った日以来、一度も見返していないかもしれません。
これが「カメラロールの墓場」です。写真はかつてなく簡単に撮れるので、かつてないほど撮ってしまい、見られないままの山は静かに大きくなっていきます。でも安心してください。何も失われてはいません。思い出はちゃんとそこにあって、ちょっとした習慣で呼び戻せます。
怠けているからではありません。ちゃんとした理由が3つあります。
解決策は、もっといいアプリやフォルダ分けの工夫であることはあまりありません。必要なのは、見る理由と、繰り返せる小さな習慣です。
その年のベスト写真を40〜80枚選んで、毎年同じ時期に1冊だけ作ります。本当の価値は、選ぶ作業そのものにあります。選びながら、1年をもう一度生きることになるからです。こうして並んだ本棚は、やがて家でいちばん開かれるものになります。紙はロック解除がいらないからです。
多くのスマホでは、過去の年の今日に撮った写真を表示できます。週に一度、朝ごはんのときにそれを見る習慣をつけましょう。かかるのは60秒ほどです。ちょうど5年前の今日に、息子さんがサービスエリアで初めて歯が抜けたことも、そこで思い出せます。
季節に一度、夜を1日決めて、旅行の写真をテレビに映します。ライブラリ全部ではなく、ひとつの旅行かひとつの年だけを選び、映画の夜のように楽しみましょう。おやつを用意して、照明を落とし、ひとりが語り手になります。短めにするのがコツです。ひとつの旅行を45分見るほうが、適当なスクロールを3時間続けるよりずっと満足できます。
旅行から帰ったら、ベストショットを名前つきのアルバムに入れる作業に10分だけ使います。数年後の自分は、「2019年5月 北海道」というアルバムが待っていてくれることに感謝するでしょう。アルバムがあると、ほかの習慣もすべてやりやすくなります。遊ぶのも、プリントするのも、みんなに見せるのも、そこから始められます。
これは、中高生に効く方法です。15歳にとって「昔の写真を見よう」は面倒な宿題のように聞こえます。でも、写真が撮られた場所を当てて、お父さんに勝つとなれば話は別です。無理に懐かしがらせる必要はありません。画面を見る理由をつくるだけでいいのです。
思春期の子は、家族写真が嫌いなわけではありません。「はい、しみじみして」と言われるのが嫌いなのです。ゲームにすれば、それが逆転します。写真はうっとり眺めるものではなく、解くべきパズルになります。ここはどこ? 撮ったのは誰? あのエレベーターが最悪だったホテルと同じ?
思い出は、おまけとして自然に出てきます。ビーチを堂々と間違った国に置いた中学生は、3人から同時に訂正され、その訂正には聞いたこともない昔話がついてきます。写真はようやく、撮った日以来はじめてちゃんと見てもらえます。しかも、誰もしみじみする必要はありませんでした。
写真当てゲームは、印刷した地図でも遊べます。ただ、いい写真を探し、答えを隠し、距離を測る手間のせいで、始める前に断念してしまうことがほとんどです。
PhotoGuessr は、その準備を代わりにやってくれる、iPhone と iPad 向けの無料の家族向けゲームです。あなたのライブラリにある、位置情報つきの写真を使い、遊ぶ年やアルバムも絞れるので、「2015年の夏」やひとつの旅行が、そのまま一晩のゲームになります。端末を順番に回すか、AirPlay でテレビに映して遊びます。全員がこっそり地図にピンを置き、全員が確定したら、家族みんなで一緒に公開します。全員のピン、それぞれがどれくらい外れたか、ラウンドの勝者、場所の名前と日付が表示されます。非表示にした写真は決して表示されず、写真は端末の外に出ません。広告もアカウント登録も課金もありません。
古い写真や、デジカメで撮った写真には、日付はあっても場所がないことがよくあります。大切な旅行なら、自分で場所を追加する価値があります。Apple の「写真」アプリでは写真の位置情報を調整でき、写真をまとめて選べば、旅行まるごとを一度に設定できます。数分で終わり、その旅行は、旅行マップから写真当てゲームまで、地図を使った振り返りに登場するようになります。写真の位置情報のしくみや、そこから旅行マップをつくる方法は、スマホの写真から旅行マップをつくるガイドをご覧ください。
フォトライブラリは、きちんと管理すべき資料庫ではありません。家族の記憶そのもので、見返されて初めて役に立ちます。2万枚をすべて整理する必要はありません。必要なのは、みんなで写真を開くための、小さくて繰り返せる理由をひとつ持つことです。